3.市民活動に参加するときのコツ

ここまでお読みいただき、日野市には様々な市民活動や参加の機会があることがわかってきたのではないでしょうか。ただ、「地域での活動に関心はあって参加してみたいが、ハードルを感じ」という方もいらっしゃいます。ここでは、市民活動に参加するときのコツをお伝えします。


(1) 活動に参加するステップ

どう始めればいいか、迷っている人は次のようなステップで動いてはどうでしょうか?

Step1.まずは知ることから。情報を得よう

このガイドでも様々な情報源を紹介しています。それらを使って活動の情報にアクセスしてみましょう。また、市報や駅、街中の掲示板などのポスターも少し気にしてみると、意外と情報が多くあることに気付くでしょう。色々な情報に触れる中で、自分の地域への視野が広がると共に、自分の関心がどこにあるかも見えてくるでしょう。

Step2.講座やイベントに参加してみよう

情報を見て興味を持った講座やイベントに参加してみましょう。講座やイベントは幅広く公開されており、気楽に参加できます。また、イベントには自分と似た関心を持つ人が集まっています。参加者や場の運営者の様子をみることで、活動の雰囲気もわかるでしょう。隣に座った人や同じグループになった人に挨拶してみましょう。

Step3.話を聴いてみよう

講座やイベントに参加する中で、自分の関心にあう活動や参加しやすそうな活動、気の合いそうな人がいたら、話しかけてみましょう。講座やイベントの運営者に声をかけるのもいいでしょう。最初の話は、相手の活動について教えてもらうのがおススメです。自分の関心や状況を伝え、自分に合う活動や参加方法を一緒に考えてもらってもいいかも。

Step4.見学、体験から始めよう

参加してみたい活動が見つかったら、一度、見学や体験をしてみましょう。関心事や背景など自分との共通項がある人に出会えたら、活動への親しみが高まるでしょう。継続して参加したいと思ったら、その旨を運営者に伝えましょう。あまり考え過ぎず、先ずは動いてみることも大切に。

Step5.参加し始めよう

参加を決めたら、まず活動の参加者が共有していること、決まり事などを教えてもらいましょう。また、自分の関心や参加可能な回数や時間(例えば、月1回週末に参加できる)などを正直に伝え、その上で、どのような参加の仕方ができるか一緒に考えるようにしましょう。小さなことでも担当や役割があった方が他のメンバーと関わりやすく、なじみやすいものです。何かできることはないか、探してみましょう。


(2) 活動に参加する時の心得、続けるコツ

地域での活動に楽しく、やりがいを持って参加するために、いくつか心得やコツを知っておくといいでしょう。

  • あせらず、無理しない

最初はわからないことや参加者との関係づくりも苦労するかもしれません。人間関係は時間をかけて培うもの。あせらず、自分のペースを大切にしましょう。

  • できることを自分から見つけよう

地域での活動は集まる人が力を持ち寄って運営しています。片付けの手伝いなど、小さくても自分にできることを見つけましょう。頼まれたことには笑顔で対応しましょう。

  • 違いを嫌わず、Yes, and・・・でコミュニケーションを

地域は多様な経験や価値観を持つ人が集まっています。自分のこれまでの“普通”とは違う考え方や進め方もあるでしょう。自分と違う意見に出会った時、対立しそうな時は「それは違う」から話し始めるのではなく、まず話を受け止め、「わかりました。あなたはそう考えているのですね。私は・・・」と始めてみましょう。

  • 自分の考えや意見は口に出そう

周りに合わせて、またトラブルを避けようと、発言したくても我慢することがあります。ただ、それがストレスになると、活動が楽しくなくなってしまいます。思ったことは口に出すようにしましょう。その際、他の人の意見も尊重しながら、一方的に主張するのではなく、そう考えた理由も一緒に話すのが大切です。

  • 気をまわし過ぎず、気軽に誘おう、断ろう

話しかけたり、誘ったりしたいが、「迷惑じゃないかな」と先回りしすぎて考えたり、誘われた時に「相手に悪いから断れない」など、気を使いすぎると気疲れにつながります。気遣いは大切ですが、気をまわし過ぎずないように。気軽に誘ったり、断ったりし、断られた時も考えすぎないことも、活動を続けるコツです。

  • 小まめに連絡しよう

活動の準備の都合もあるので、急な用事で活動に参加できなくなった時など、早めに小まめに連絡しましょう。誰に連絡すればいいか、確認しておくことも大切です。

  • 休んでも、また参加しよう

仕事や家族の用事などで、活動を休んだり、参加できない時期があったりすると「休んだので行きづらい」と考えがちですが、少し間が空いたとしても活動に参加することが活動を続けるコツです。参加できていない時も、他のメンバーと連絡を取り合い、自分の事情や理由などを共有しておくと休みやすいでしょう。また、他の人が休んだ時、その人の分をメンバーでカバーする仲間になっていると、お互いに休みやすくなり、結果として続けやすくなります。


【コラム】 これからの市民活動

広石拓司(株式会社エンパブリック代表)

今、社会は大きく変化し、価値観もライフスタイルも多様化している中で、市民活動も、これまでの姿からこれからの姿へと変化してきています。
「市民活動をしている人って、すごい人のイメージがあります。地域や困っている人のためという気持ちが強く、時間を取って、お金ではなく熱意で動いている。すごいな、と思うのです」
「地域コミュニティって、地域に長く住む人、高齢の人ばかりのイメージがあります。長年かけてできあがっている関係に、新参者が入るのは難しいと思うのです」
このようなご意見をいただいたことがあります。
確かに、これまでの社会では、高校・大学などの学びのステージ、仕事や子育ての「現役世代」のステージ、定年や子育てが終わったら余暇や地域活動のステージと、3つのステージで暮らす人が多くいました。そして日野はベッドタウンとして核家族世帯が多く、同じ企業に長く勤め、長く地域に住むことを前提に暮らす人が多くいました。市民活動も、比較的似たライフスタイルを前提に、時間をかけて共有している人達が中心に活動をしていました。また、社会奉仕としてのボランティアが重視され、熱心に取り組むリーダーを中心に組織としてまとまった活動を行うものが多くありました。

しかし、近年の社会の変化や多様な機会の拡大によって、ライフスタイルは多様化してきました。従来の現役世代でも、仕事や子育てをしながらボランティアをしたり、社会人大学院で学んだり、NPOなど地域での活動を仕事にしたり、男性が育児を中心に担う主夫の方もいます。シニア世代でも新しい仕事を始めたり、中高生世代も地域での体験学習を通して地域活動に参加したりするなど、世代毎に一括りにすることが難しくなっています。このように単なる年代で区切らず、多様な生活の仕方を混ぜていく「マルチ・ステージ」の生き方が広がっています。日野に住む理由、住む期間、生活時間もより多様になり、プライバシーを守る意識も高まったことで、ご近所に住んでいてもお互いに知らないという関係も広がっています。
多様性の時代の市民活動には、同じであることを前提とするのではなく、「違い」をポジティブに受けとめ、活かしていく発想が大切になります。「同じ」は一体感を持ちやすく、コミュニケーションも楽なように感じやすいのですが、「違い」によって物事を多面的に考えることができ、コミュニケーションが深まり、新しいアイデアが生まれます。
目指すことを共有しながらも、それぞれの考え方、価値観を大切にし、多様な参加の形や時間、スタイルで参加できる人を増やす。お互いの考えを大切にしながら、対話することを通してより柔軟に、より効果的な活動をつくることが、これからの市民活動では大切です。

 


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